今まで触れたことのない考え方だった。
飼い主とペットの関係は正直、
餌をくれるから懐くだと思っていたし
撫でたりする行為も逆の立場だったらと
考えることなどなかった。
「そんな勇気が僕にもあったらな」
そう彼はぽつりと呟きマリーの
背中に置いていた手で額を優しく撫でる。
きっと彼は全ての環境に恵まれて
いただろうし、勇気なんてださなくても
全て思い通りに事を運んできたのでは
ないだろうか?
何か不都合な事があったとしても
親の権力を使い、金で解決して事も
あったに違いない。
仕事の心配もない、黙っていても
女性は寄ってくるだろうし
恋愛にも困らない。
彼に見合う完璧な女性と結婚できる
だろうから将来の心配もない。
私の人生と比べてとても羨ましくて
それと同時に憎しみが湧き上がってくる。
その気持ちを押し殺すように
冷めたコーヒーを一気に飲み干した。
