「とても人懐っこい綺麗な猫ですね」
「そうですね。お客さんには…」
そういうと彼は不思議そうな顔をした。
「あっ…私やマスターには全く
懐いていないんです。
お客さんには初対面でも人見知りせず
寄っていくんですよ」
「おふたりのことは信頼してると
思いますよ。
お客さんにフレンドリーなのは
もしかしたらおふたりに
恩返しする為かもしれませんよ」
「そうだといいんですけど…」
「動物ってまっすぐに信頼と愛を
全身で伝えてくる勇気を持っているから
とても羨ましい」
彼は緩んでいた頬を少しひきつらせて
続ける。
「人間は言葉という気持ちを伝える
手段があるのに、大切な事が
上手く伝わらず誤解されたり、
傷つけたり争ったり…
動物は自分よりも大きい人間という
異なる種に理解できない言葉で
話しかけられたり、触られたりしても
時間をかけて信頼して愛を伝えてくる。
もし僕よりも大きい得体の知れない
動物に同じような事をされたら
きっと逃げ出してしまうでしょうね」
