「お客様、お飲み物は何にされますか?」 話しかける機会を伺っていたであろう 高岡さんが聞いた。 「このカフェで一番美味しい珈琲を お願いできますか?」 「かしこまりました。 掛けてお待ちくださいませ」 そう言われると御曹司は 私が座っていたカウンター席の 右隣に腰を下ろした。 そしてもうひとつ隣の椅子に 黒い通勤用鞄を置くと、 私の方を見た。 挨拶をするために立ち上がった私が 彼を見下ろす形で視線がぶつかる。 彼のすぐ近くに立っているため とても距離が近い。