「いらっしゃいませ」
高岡さんが挨拶をしたため
私も慌てて立ち上がり
「いらっしゃいませ」
と軽くお辞儀をして御曹司の
顔を見ると目が合った。
御曹司は驚いた様子で少し目を見開いた。
これは私に気づいたのかもしれない。
「人違いだったら申し訳ないのですが」
私は彼の言葉を遮るように言った。
「一昨日、雨が酷かった日に
傘を貸してくれた方ですよね?」
「人違いではなくてよかった。
あの後、貴女が風邪をひいていない
だろうかと心配でした」
「あの時、傘を貸して頂いたお陰で
風邪をひかずにすみました。
本当にありがとうございました。
「いえいえ、元気な姿を見て安心しました」
そう言って彼は優しく微笑んだ。
