23時41分6秒




「いらっしゃいませ」



高岡さんが挨拶をしたため
私も慌てて立ち上がり



「いらっしゃいませ」



と軽くお辞儀をして御曹司の
顔を見ると目が合った。


御曹司は驚いた様子で少し目を見開いた。


これは私に気づいたのかもしれない。



「人違いだったら申し訳ないのですが」



私は彼の言葉を遮るように言った。



「一昨日、雨が酷かった日に
 傘を貸してくれた方ですよね?」



「人違いではなくてよかった。
 あの後、貴女が風邪をひいていない
 だろうかと心配でした」



「あの時、傘を貸して頂いたお陰で
 風邪をひかずにすみました。
 本当にありがとうございました。



「いえいえ、元気な姿を見て安心しました」



そう言って彼は優しく微笑んだ。