背を丸めてこぢんまりと息を殺した。
――カツン、カツン。
生徒会役員の人かな。先生っていうのもあり得る。
…会長のファンの人っていう可能性も…!
「……、」
(…こわい…っ!)
無意識に噛んでいた唇に
僅かな痛みが帯び始めた時
――ちゅっ
「…菜穂。イイ子だよ」
わたしの額に口付けを落とした彼は
余裕を携えたまま、静かに唇の端を上げて
諭すような、妖艶な微笑をを浮かべたのだった。
(…っ、…!!)
声にしてはいけないその叫びは、一番の赤面となって表れる。
…この人は本当に。
本っ当に、もう。
心臓がいくつあっても足りないよ…っ!