「…なに?それ監督に言わないで勝手に練習メニュー変えたってこと?フォーク刺そうか」
「そうだそうだっ!カナそういうとこあるよっ!」
「トレーナーに許可とったっつの。麗が言うと冗談に聞こえねぇわ」
「そうだそうだっ!麗そういうの良くないっ!」
「「日向喋んな」」
「うわハモるとか意味わかんないんですけど!ちょっとあさみん聞いた今のっ!?」
「あ、あはは…」
昼休み。テンポよく会話を繰り広げる3人を見ながらお弁当を広げる。
始めはわたしと麗ちゃんは2人で、神谷くんと香月くんはサッカー部のみんなとそれぞれ昼食をとっていたんだけど
いつの間にやらこの4人で食べるのが、よくある光景として落ち着いた。
麗ちゃんと香月くんはお家が隣同士の幼なじみで
香月くんと神谷くんはサッカー少年団からの親友で
麗ちゃんと神谷くんは兄同士が親友で関わりがある。
わたしは桔梗に入って麗ちゃんと知り合い、それから香月くんと神谷くんとも知り合って、まだ1年と少ししか経っていない。
この眩しくて華々しい3人と、わたしなんかが一緒に食べて良いのかと思うことは何度もあった。
…場違いになっていないかと、人の目を気にした。
「菜穂ー?またボーっとしてるー?」
「あ、ううん。大丈夫」
「もうあさみん上の空良くないよっ!」
「麻見以外まともなヤツいねぇんだからツッコミの準備しとけな」
「そうそう、奏が一番まともじゃないけどね」
「それ俺も同意っ」
「お前らだけには言われたくねぇ!!」
「あははっ!」
けれど今はもう、そんなことを気にする暇が無いくらい
此処をわたしの居場所として3人が受け入れてくれる。
嬉しくて、本当にありがたくて、…ちょっとだけ泣きそうになるんだ。