「お母さんが昨日、日本語版の星の王子さまの絵本をくれたんです。英語版とはまた違った良さがあるからって」
「訳がどう繋がってるかとか、比較しても楽しいよな」
「ふふっ、そうなんです!宝物がもう1冊増えましたっ」
「…いつか子どもが出来たら、読み聞かせてあげよっか」
「……っ…!」
「ふはっ。笑ったり泣きそうになったり忙しいな」
「……男の子なら、サッカーやってくれたら…嬉しいですね…っ」
「男だったら絶対菜穂の取り合いするから女がいい」
「ふふっ…。女の子だったらわたしも、いじけっちゃったりして…っ」
未来を描く
嬉しさと幸せから溢れる涙を
――…彼は指先でゆっくり拭うと、麗しいままに微笑んだ。
「菜穂。好きだよ」
「わたしも大好きです」
「ん。イイ子だ――…」
今日もまた好きが積もっていく。
優しい表情で微笑んでいた彼の
――…獣の眼光に、情炎が射す。
甘い蜜に捕らわれ
何度も、何度でも溺れる――…。