「それと、何でもデカい声で話すのやめた方がいいっすよ?言っちゃ悪いけど下品」

「「っごめんなさい!」」


そそくさといなくなった先輩2人を一瞥すると、彼は短く息をこぼす。


「麻見、おかえり」

「…ただいま…、です」

「ん。…早く麻見に会いたくて、昨日あんま寝れなかったんだ」



そうしてまた明るく、柔らかく笑ってくれるからこそ

…このままではいけないのだと思う。

わたしは、彼に伝えるべきことがあるのだから。


「神谷くん、倒れた時保健室に運んでくれてありがとう。お見舞いもありがとう」

「おう」

「心配と迷惑かけちゃってごめんね。…あと、いつも、本当にありがとうね」

「……、」

「話したいことがあるんだ。今日、休み時間とか…話せるかな」



賭けになるのかもしれない。

わたしが返事を伝えたら、もうこれまでの関係には戻れないのかもしれない。


わたしはもう神谷くんと笑い合ったり

一緒にいることが出来ないのかもしれない。



それでも

会長を忘れられないまま、彼にすがるなんてこと、絶対にしたくないんだ。