「っ花岡さんは!?」

「太腿に痣が出来たのと腰を痛めたけど、心配はないって」

「…そうなんだ。良かった…」



安堵はしたものの

お人形のように可愛いお姫様に

…痣や痛みが伴ってしまったのか。


会長、悲しんでるだろうなぁ…。



「…わっ!」

「菜穂、二度と無茶なことしないで」

「っ」

「階段から落ちて意識ないって聞いて…。本当に心配したんだから…っ!」



目の前の悲しみと怒りに満ちた

初めて見る表情と剣幕に、胸の奥が痛い。


わたしは会長だけでなく

お母さんも悲しませてしまったんだ。



「…ごめん、なさい…」



苦しいくらいの力で抱きしめてくるお母さんに、涙がこぼれそうになる。

…お母さんだけじゃない。

神谷くんや麗ちゃん、香月くんにも迷惑をかけてしまったに違いない。



…お母さん、ごめんね。

…ごめんなさい…。