「…ん…」 「菜穂!目が覚めたの」 視界に映った白い天井と 包容に満ちた声色で微笑むお母さんの姿。 …自分が眠っていたのだと、理解する。 「お、かあさ…ん?……あれ、」 「今は夜の8時。ここ病院」 「えっ!?…っ痛…」 「安静にね」 特有の薬品な臭いと 左腕に繋がれた点滴 そして鈍く痛む身体中に対し、眉間に皺が寄る。 …わたしは確か、神谷くんと社会科資料室に向かう途中で…。