光里が玄関先で靴を履き替えている。



『光里っ』

『誠実…』

『さっきはありがとう。あと、ごめんな…』





簡単に済ませて、
手紙を手渡したまま…俺は光里を見ることすら出来ずに去ろうと背を向ける





『誠実…。これ…』

『時間あったら読んでくれよ…じゃあな』



躊躇いがちになる光里。



足を引きずる俺の後ろには、
友達と仲良く笑い合う光里の姿。




グラウンドに着くなり読み始める光里は、
どことなく考えこんでいるようだ……


ごめんな…
ごめんな…




気まずくなっていくことも分かりながらしてしまった俺の責任。


この頃…

光里のことしか考えていなかった。

光里しか見てなかった。



それくらい…好きになった女性は、
光里しかいなかったと言っても過言ではなかったから。