水族館はわりと好き。
だから今日は普通に楽しみたい。
わたしが普通に楽しんでれば、帝塚くんの行動に干渉するってことにはならないだろう。
「あたし、ペンギン見たいな~いるかな?」
「いるみたいですね。餌やりもするみたいですよ。行きますか?」
「おー! 行こうよ!」
それは、距離が縮まった二人の会話……
「ね、佐久良さん!」
「ね、佐久良」
……ではない。
わたしの右側に、アカネちゃん。左側に、帝塚くん。
おかしいな? 確か、さっきまで中村くんが隣にいたはず、と周りを見渡す――
中村くんが……魚を観て……写真を撮っている……。
なんで……なんでよ……っ! キミが唯一の救いなのに……っ!!
「中村くんっ!」
後ろから中村くんの肩を掴んで声をかけた。
楽しそうにしてるとこ悪いけど、ちょっと失礼するよ!
「……佐久良さん?」
きょとんとした顔で振り向かれた。
も、も~! アカネちゃんを応援したいなら、わたしと一緒にいてくれたっていいじゃん!
「中村くん、今日は、わたしから離れないで!」
こっちは身が持たないんだよ!
「え」
と、中村くんの顔がボッ! と赤くなる。
「え」
これはわたしの声。



