キミは当て馬、わたしはモブ。




「佐久良が毎日そうやって笑ってくれたら、余計に楽しくなります」


「……そう言われると笑いにくいなぁ」



 わたしの笑顔はそんなに安くないよ?


 特に、帝塚くんに対しては。



「笑顔というのは、伝染するでしょうか。……いえ、もうしてますね」



 目を伏せる帝塚くんの笑顔は綺麗だ。わたしにつられて笑ったというには、あまりにも端麗すぎる。


 もったいないなぁ……この人、せっかくの容姿を全然活用しないんだもんなぁ。


 わたしがもし誰もが振り向く絶世の美女だったとして、好きな人がいたら絶対に笑顔を振り撒いてるよ。


 でも、それじゃダメなのかなぁ。


 なんだか、穏やかな空気が流れる。


 う……なにこれ。生温くて、気持ち悪い。


 時計を見てみた。40分くらい経っている。


 ようやく40分か……よく間を持たせたな、わたし。



「帝塚くん、お腹空いた! コンビニでなんか買ってくるね」


「一緒に行きます」


「え、あぁ……そう?」



 ちぇっ、一人きりになれると思ったのに。


 二人でコンビニまで歩いていると、変に視線が刺さってくる気がした。


 もちろん周りが見ているのはわたしじゃなくて帝塚くんなんだけど、それでも、ごく少数はわたしに敵視を向ける人間だっているはずだ。