キミは当て馬、わたしはモブ。




「朝から災難だね……佐久良さん」



 心労で自分の席にどさっと腰を下ろすのを哀れんで声をかけてくれた中村くんは、まるでオアシスだった。



「みんな、大体付き合ってないってわかってきてても言ってくるよね……」


「わかる……」



 あぁ……さすが同士。


 中村くんと話してたら安心するよ……。



「でも、もしかしたらこれであっちの二人を応援したいって人も出てくるかもしれない」


「あー……そう、だね」



 それはそれでわたしは困るんだけどね。



「今回は何をするの?」


「まず友達になるんだって」


「無難だね」


「さすがに鈍感でも、友達にならなれるよね」


「……そう、かもね」



 今度は中村くんの歯切れが悪くなった。


 え? まさかアカネちゃん、男友達は作らない主義?



「や、その、アカネの鈍感って、別に恋愛面だけじゃないからさ。万が一ってことはあるな、と」


「えっと……?」


「もし帝塚くんが変な言い回しをしたら、伝わらない可能性はあるかも……ってこと」


「あっ、あー……うん、言いたいことはわかったよ」



 帝塚くんが『男友達がほしいとは思いませんか?』みたいな、遠回しな言い方をしたら心配ってことね。


 だって『そんなに思ってない』って返されたら終わりだもんね。