キミは当て馬、わたしはモブ。



 お弁当を食べ終えたので、自分の席に座って授業の準備をする。


 教室のドアが開いた音がしたので何気なく目を向けると、帝塚くんが帰ってきていた。


 いったいどこでお昼を済ませたんだろう。


 目が合って、逸らすかどうか迷ってる内に距離を詰められた。


 言ってやろうか。アカネちゃんと友達になったって。ラインも交換したよ~って。



「まぁ見ていてください」



 どや顔で見下ろされて、ムカつかないわけがなかった。


 なんなの急に。


 帝塚くんの視線が、ほんの少し後ろの席のアカネちゃんを向く。


 あー……もしかして。あの手紙、帝塚くんが書いたやつだったり?


 それならなおさら解いてやりたい。


 満足して自分の席に戻ろうとする帝塚くんからは、強い石鹸の香りがした。


 あれ……あんな香り、今までしてたっけ?


 って、わたし、キモ……。柔軟剤なんていつ変わってもおかしくないよ。


 でもそれにしては、香りが強すぎるとは思うけど。入れる量でも間違えた?


 それに、今朝は特に何も感じなかったけどなぁ。



「帝塚くんて、あんな表情もするんだ」



 アカネちゃんがぽつりと呟く。


 確かに、わたしも絡まれる前は冷徹な人間だと思ってたなぁ。実際はただの馬鹿だったわけだけど。


 人って見かけによらないのかもしれない。可愛い顔して怪力なアカネちゃんも、怖そうに見えてそうでもなかった帝塚くんも。


 後は……平凡なふりして人に言いづらい趣味を持ってるわたしも?