わたしは何気なくそれを拾って、目を通してみる。
「わっ、なに、謎解き?」
書いてあったのは、アカネちゃんが読み上げた文章だけじゃなかったのだ。
こんな文字が手書きで続いていた。
『🔽場所はここ🔽
①K ②Fe ③S ④Ca』
なにこれ?
紙の一番下には、フラスコに顔が付いたみたいな変なキャラクターが「始めが肝心ですよ!」と吹き出しで喋っていた。
なかなかに腹立つ顔をしている。
「謎解き?」
後ろから中村くんが覗いていた。
振り向くと思ったよりも距離が近くて、さりげなく距離を取った。
「な、中村くん、わかる?」
やっぱり中村くんと話すのは緊張する。
「んー……なんとなく。でも、これは」
わたしからひょいと紙を取り上げて、机の上に戻される。
「アカネが解かないと意味がないものだから」
数学の宿題に追われて、わたし達の会話なんて全く聞こえていないアカネちゃん。
紙が落ちたことも、今こうやって戻したことも気付いていないだろう。
中村くんはそんなアカネちゃんを眺めながら、小さく微笑んだ。
それは手のかかる子供を見る親のような、「しょうがないなぁ」なんて言葉が聞こえてきそうな表情だった。
わたしはそんなことより謎の答えが気になって仕方なかったので、こっそり写真を撮って後で考えることにする。



