キミは当て馬、わたしはモブ。



 中村くんはアカネちゃんの顔を見ると、不機嫌そうにはぁ、とため息を吐く。



「アカネがやったこと、僕は一生許さないけどな」


「えっ!? もうやらないって言ったじゃん! 誓約書まで書かされて!」


「ほら。そういう態度。誠意が感じられない」


「う~っ、だっ、だって、あたしは本当にそう思ったから言っただけだもん……。冷やかそうとか、そんなんじゃ……」


「結果的に佐久良さんと帝塚くんを傷付けたことに関しては?」


「悪いと思ってる……」


「そういうときにすることは?」



 ぎゅう、とアカネちゃんの胸に寄せられたわたしの腕。まだ離してもらえてなかったな、そういえば。



「さ、佐久良さん、ほんとにごめんね。あたし、佐久良さんと友達になりたいな……」


「なります」



 わたしに、アカネちゃんの上目遣いが耐えられるわけなかった。


 今の会話、痴話喧嘩くらいにしか思ってませんでした。


 中村くんに、お母さんかな? ってつっこむ余裕まであったよ。


 こんなに近付かれるとは思ってなかったけど、合法的に推しカプの会話を聞けるようになったって思えばラッキーなのでは?



「ふふんっ、どうよ優斗、羨ましかろ? 我、佐久良さんと友達ぞ?」


「せ・い・い」


「ぴえん」



 見れば見るほど、二人は友達なんだなぁって気分になるけどね……。