キミは当て馬、わたしはモブ。



 中村くんは、驚いた顔でわたしを見ている。とりあえず笑って取り繕った。



「佐久良さんがそう言ってくれるなら……わかった」


「うん!」



 よしっ、会話終了!


 はあぁ~緊張した……。いつもは中村くんの声なんて聞いてるだけだったのに、自分と言葉を交わすなんて。


 帝塚くんが近付いてきてから、かぁ。


 よかったのか悪かったのか、嬉しいのか悲しいのか、よくわからない。


 ただ、これからはもっと自分の趣味を隠し通す必要があるってことはわかる。


 二人を悲しませるのは一番やっちゃいけないことだ。



「あ、佐久良さん」


「なに?」


「今の言葉、アカネにも言っていいかな。絶対、喜ぶと思うんだ」


「えっ! いい! いいよ!」



 なにそれ! 自分の喜びをアカネちゃんと共有したいってこと!?


 話を聞いてると、中村くんってアカネちゃんのことばっかり考えてる気がする。


 それが恋愛感情じゃなかったとしても、違った形の絆ってやつがきっとあるんだ。


 あ~っ、尊いよっ!


 そうだよ、わたしって、二人のこういう関係が好きだったんだ。


 友情よりも深くて、恋愛までは言えない。そんな関係。わたしの幼なじみモノの中の大好物!


 やっと初心を思い出せた気がする。


 想いが強すぎて、激しくヘドバンし始めるわたしに、中村くんは若干引いていた。


 でも……控えめに、笑ってくれたりもした。


 それがなんだかとっても、胸がいっぱいになったのだった。