キミは当て馬、わたしはモブ。



 夢小説――その実態は、決してハッピーでラッキーでドリームなものではない。


 ただの空想に恋する女の日記である。


 たまたまやった乙女ゲームで運命的な出会いをしたわたしは、すぐ彼にのめり込んだ。


 彼の名前は、緒方(おがた)みのる。私立泉ヶ原学園に通う高校二年生。


 ヒロインの幼なじみ。少々消極的な面もあるが、心優しいヒロインのよき理解力。(公式サイト原文ママ)


 短いよね、説明文。


 何を隠そう、彼は攻略対象外である。


 対象外……なのである……。


 だめだ、落ち込んできた。あのときの絶望感がフラッシュバックしてくる。


 みのるくんはいわゆるサポートキャラっていうやつで、ヒロインの恋のお手伝いをしてくれるんだけど……なんでそれを幼なじみキャラにした?


 あぁ、今度はキレそうになってきた……情緒不安定だ、わたし。


 わたしが彼に一目惚れした瞬間、その恋は儚く散ってしまった。


 その結果が……この夢小説。


 まるで現実だったかのように綴られた『わたし』とみのるくんのラブラブな毎日は、一週間で終わっている。


 ――ちなみにこれは、中学三年生のときの話である――。


 さあ、今から儀式を始めよう。


 わたしとみのるくんの、決別の儀式(ラブ・イズ・オーバー)を。