キミは当て馬、わたしはモブ。



 確かに、最初はあたしもそうなるだろうなって思ってた。


 でも正直、それが具体的に想像できたことはなかった。なんとなく、そうなるのかなって感じで。


 でも今ならどうだろう。


 朝も、登下校も放課後も、優斗と一緒。全部鮮明に想像できる。


 だって、あたしの好きな人は、優斗なんだもん。


 優斗の代わりになる人がいなかったから、優斗を好きになったんじゃん。


 あたしは席を立って、優斗の隣に移動する。



「あたしの好きな人……教えてあげよっか?」


「……聞きたくない」


「あたしは聞いてほしいな」


「僕の言った意味、まだわかってないの?」


「優斗こそ、ほんとにわかんないの?」



 横から胸に引き寄せて優斗のことを抱きしめた。


 優斗の柔らかい髪の毛に顔を埋めて、響かせるようにささやく。



 ――あたしの、好きな人はね。



 腕の中で、優斗がみるみる熱くなっていくのがわかる。


 でもあたしは言うのをやめなかった。


 というか、言うのを抑えられなかった。


 知ってほしい。あたしにとって、優斗はどんな存在なのかってことを。



 ――あたしの好きな人はね、優斗だよ。