キミは当て馬、わたしはモブ。




「か、代わり……?」



 なんのことだろう。


 優斗の言っていることがわからない。



「だから……ただの代わりが、僕が、アカネの好きな人を気にするのはおかしいだろ」


「え? え? ほんとにどういうことなの? お、おかしくないよ?」


「おかしいんだ。知ったって僕には関係ないんだから、知ろうとするのはおかしい」


「おかしくないって! あたしだって優斗に好きな人がいるって聞いたら、誰だか気にするよ!? 気になって気になって仕方ないよ!?」


「それは、アカネが誰の代わりでもないからで」


「その『代わり』って何!? 優斗は、優斗じゃん!」



 優斗って、ずっとそんなことを考えながらあたしと一緒にいたの?


 自分は誰かの代わりだって、本気でそう思ってるの?


 そんなわけないのに。優斗が優斗じゃなきゃ、あたしはだめなのに。


 ……でも、優斗がこんな風に苦しそうにするのをあたしは初めて見た。


 もしかしたら、ずっと悩んでたのかも……。


 気が付けば、あたし達は二人とも涙目になっていた。


 こうやってお互いの泣き顔を見るのも、いつぶりだろう。



「僕は……いつかアカネの隣に立つ人が現れるまで、代理で立ってるだけにすぎなくて……」


「ううん。そんなことない」


「朝起こすのも、一緒に登下校するのも、僕じゃなくてもよくて……」


「ううん。優斗がいい」


「っ……アカネに好きな人ができたなら、僕はもういらなくて……」


「違うよ、優斗」



 優斗は、一つ大きな誤算をしている。