キミは当て馬、わたしはモブ。



 というわけで、



「今日はここまでっ!」


「まだ全部できてません」


「もうお兄ちゃん帰ってくるしっ! ……つ、続きはまた今度」



 少しずつ段階を踏んで行かないと、感覚がバグっちゃう。


 普通がなくなっちゃうのは、ストレスなんだから。



「今度、ですか」


「う、うん」


「今度のこと、まだありましたよね」


「え……?」



 な、なんかあったっけ?


 記憶の中を巡る。……思い出せない。


 また今度、また今度……。



「……部屋に」


「あっ、部屋に。部屋にね? 帝塚くんのね? やつだよね」


「完全に忘れてましたね」


「……ごめん」



 だってあれ、雑談のノリだったじゃん。印象に残らないよ。



「だから今度は、俺の部屋でやりますか」


「へぇっ!?」



 あれ、なんか『彼氏の部屋』って思うと、同じことをするにしても意味が違って感じる。


 覚悟がさらに必要な気がする。


 なるほど。帝塚くんって、今こういう気持ちだったんだ。


 それなのにここまでして……してくれて? さすが帝塚くんの真骨頂って感じ。


 今度……がんばろ。


 そろそろ体を起こそうとしたところで、軽く頭にキスをされた。



「佐久良、楽しみにしてます」


「……はい」



 今日最後のキスってことなんだろう。


 むず痒い。