キミは当て馬、わたしはモブ。




「まだ寝ちゃ駄目ですよ」


「んー……でも、ねむ……」



 だんだんとベッドに倒れ込んでいく。


 柔らかいマットレスに体を沈めると、眠気は最高潮に達した。


 そこへ、額にふにっとした感触が降ってくる。



「ほら。俺、まだやりたいことあります」


「勝手にやれって……言ってるでしょ」


「でも寝られたら困ります。起きてください」



 額、閉じかけのまぶた、頬……下がってくる感触がくすぐったくて身をよじった。


 帝塚くんは追いかけてくる。



「さーくーら。目を開けてください」



 しつこいので、まどろみの中無理矢理まぶたを開くと、端正な顔がすぐそこにあった。


 彼は近付くのをやめようとしない。


 そのまま、わたし達はゼロ距離になった。


 優しいキス。眠気が高まった状態でされたら、ますます心地良い感覚になってしまう。


 だから、もう意識が遠のくのに身を任せちゃおうかと思っていたら……。


 なにやら湿った感触が、わたしの唇を過ぎ去っていった。



「……ん!?」



 わたしの脳は一気に覚醒する。


 ガン開きした瞳に映る、キョトンとした表情の帝塚くん。