キミは当て馬、わたしはモブ。



 こ、こんなんじゃ、わたしが期待してると思われる!


 あくまでも期待してるのは帝塚くんで、こっちがお願いを聞いてあげた……ってことにしたい。


 わたしばっかり焦らされるのは、もう十分だ。


 だからわたしの頬を掴む手の上から、自分の手を被せる。



「……いいよ。帝塚くんのしたいこと、勝手にすれば?」



 想像以上のことされたらどうしよう……。


 だ、大丈夫な、はず。相手は帝塚くんだし。


 帝塚くんは嬉しそうに微笑んで、眼鏡を外した。


 うっ……! その動作、なんか合図みたいになってない!?


 わたし、パブロフの犬にさせられてない!?



「佐久良、そんなに固くならないでください」



 そう言って、優しく抱き寄せられた。


 帝塚くんの温もりが伝わってくる。たぶん、わたしの体温が高いのも気付かれているだろう。


 で、でもこの密着度、心臓の音も絶対聞こえてるよ。



「最初はこのくらいから始めますからね」



 落ち着いた帝塚くんの声と、ゆっくりとした心拍数。


 さっきまでフルスロットルだったわたしの心臓が、帝塚くんに同調して遅くなっていく。


 ふんわりとした温もりと、ゆったりとした心音。


 あれ、なんか、安心するかも……。