キミは当て馬、わたしはモブ。



 ついついそんな場面を目で追ってしまい、思わず笑ってしまった。


 わたしの笑い声に反応してこっちを見てくる二人。



「「あ、可愛い」」



 声を揃えて言ってきやがった。


 そんなこと言うから余計にレア度が増すの、わからないのかな。


 変なこと言ってないで、さっさと次行ってよ。


 と、ここでお兄ちゃんがスッとまっすぐに手を上げた。



「……もうここで終わりにしないか?」



 その顔には「これ以上ダメージを負いたくない」ということがはっきりと書かれている。


 いやでも、それって。



「それは、負けを認めるということですか?」



 ってことだよね……。



「なっ!? ち、違うもんっ! 架空の話をする男なんて余計に許せないってだけだもんっ!」



 アニメのツンデレヒロインよろしく、お兄ちゃんは腕を組んでそっぽを向いた。


 成人済み男性のぶりっ子なんて気持ち悪いだけでなんの需要もないんだけど。



「架空じゃないですよ。ね、佐久良?」


「わたしに振らないでよ……」


「でも、佐久良じゃないと証明できませんし」



 わたしは帝塚くんの前だと笑顔が可愛くて素直じゃなくてすぐ赤面する恋愛下手だって?


 それを実の兄、しかもシスコンに? 言えと??


 無理に決まってるでしょ!