キミは当て馬、わたしはモブ。



 隣から、お兄ちゃんの絶句した声にならない声が聞こえる。


 どんな顔をしているのかはわからない。だってわたしは顔を手で覆って見ないようにしているから。



「えー、まず」



 反応を気にせずプレゼンを進める帝塚くん。


 見たくない見たくない見たくない。


 聞きたくない。聞きたくない。聞きたくない。


 ……いやでもちょっとだけ知りたい。


 帝塚くんが考えるわたしの好きなところでしょ? きっ…………気に、なる、か? 気になる、な。


 よし!


 勇気を出して視界を開放した。



「一つ目、笑顔が可愛い」


「ぐぅぅ……っ!」



 はっ、恥ずかしい~~~!!


 わたしは下を向いて再び顔を覆った。



「佐久良はわりとクールな部分があるので、笑顔は意外とレアです。たまに見られたときには、世界が一変したかのように明るくなり、一日幸せでいられます」



 本当かよとツッコミをいれたくなる言葉をつらつらと並べられて、余計に顔が上げられない。



「佐久良、せっかくスライドも作ったので、見てください」



 なぜか注意された。理不尽すぎる。


 今顔を上げるとめちゃくちゃに真っ赤なことがバレてしまうので、「う、うるさい……っ!」と弱々しく返すことしかできなかった。