キミは当て馬、わたしはモブ。



 ポーチの中から出てきたのは……。



「……USB?」



 USBメモリ。使ったことはないけど、存在は知ってる。


 中にデータを入れて、持ち運べるんだよね、確か。


 疎いパソコン知識を片隅から引っ張り出しながら、帝塚くんの行動を窺う。



「これをお兄さんのパソコンに差し込みます」



 電源の入ったお兄ちゃんのパソコンに差し込むと、軽快なSEがテレレンと鳴った。


 そして、パッとウィンドウが表示される。



「動かしても?」


「……勝手にどーぞ」



 訝しげに許可を出したお兄ちゃんも、帝塚くんの意図が読めなくて警戒してるようだった。


 
「……おい和花、ほんとにこんなやつでいいのか? めちゃめちゃイケメンでビビったけど、たぶんめちゃめちゃ変なやつだぞこいつ」


「…………変なのはいつものことだからっ」



 そんな兄妹のひそひそ話もやつは聞いちゃいないだろう。



「準備できましたよ」



 帝塚くんの声に、パソコンの方へ振り向く。


 画面にはなにやら文字の書かれた紙芝居のようなものが映っていた。


 わたしの脳は、その文字を理解するのを嫌がっている。


 なぜなら、そこに映っていた文字は――




「これより、『佐久良和花さんの好きなところ五選』のプレゼンを行いたいと思います」




 ポップなフォントの『佐久良和花の好きなところ 五選』という文字だった。


 わたしの内心は、嬉しいのか嫌なのか恥ずかしいのか気持ち悪いのか、もうぐちゃぐちゃになってわからなくなっていた。