キミは当て馬、わたしはモブ。





 土曜日。晴れやかな日差しが差し込む中、帝塚くんはピシッと整ったお辞儀をした。



「というわけで、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます」


「……いや、俺らの家なんだけどな、ここ」



 お兄ちゃんが椅子の背もたれにギシ、と体重をかけて帝塚くんを見下ろす。


 そう、ここはわたし達の家で、そんでもってお兄ちゃんの部屋だ。


 帝塚くんに言われた通り、お兄ちゃんに空いてる日を確認してパソコンの使用許可も取って……。


 あんまり良い顔はされなったけど、「お兄ちゃんは帝塚くんにわたしを取られてもいいんだ?」なんて煽ったらまんまと釣られにきた。


 わたしは帝塚くんが家にいることの違和感がすごくて、さっきからずっとそわそわしている。


 駅まで迎えに行ったときもわたしだけ緊張していて、帝塚くんはいつも通りだった。珍しく帝塚くんからなんでもない世間話を振ってきたりして、余裕すら感じられた。


 わたし、一応、一応の一応、オシャレしてきたんだよ? 別に、何かあるわけじゃないけどさ……。



「……で? なにやるか聞いてないんだけど、テヅカくん」



 パソコンの置かれた机に頬杖を付いて、お兄ちゃんはため息を吐いた。


 帝塚くんは待ってましたと言わんばかりに鞄から手のひらサイズのポーチを取り出す。