推しカプ摂取の余韻が思ったより響いて、ついつい口元が緩んでしまう。
「……佐久良? 聞いてます?」
それは休み時間、教室で帝塚くんに勉強を教わっているときも例外じゃなかった。
わたしの前の席を借りて座る帝塚くんが顔を覗き込んでくる。
「ん~? あ、ごめん聞いてなかった」
「……。別のことを考えるにしても、俺のことなら許すんですけど」
「残念でした」
自分のことじゃないことがわかると、むすっと仏頂面をして拗ね出す帝塚くん。
それがなんだか可愛くて、自然に笑みがこぼれてしまった。
「安心しなよ。帝塚くんのことなんて、毎日腐るほど考えてるから」
「佐久良は俺を喜ばせるのが上手いですね」
「や、帝塚くんが単純なだけかな」
言動で結構わかりやすいからね、キミ。
「でも、佐久良ってアカネさんに対するような笑顔を俺に向けてくれませんよね……」
「そこまで来るとちょっとめんどくさいんだけど!」
人によって態度が変わるなんて、割りと誰にでもあるでしょ! そもそも二人は土俵から違う!
はいはい、そんでもってわたしは正解回答を持ってますよ。
「アカネちゃんには見せてないわたしの一面も帝塚くんには見せてるんだから、おあいこでしょ?」
「…………佐久良は口も上手いです」
はい、素直に負けを認めてください。



