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みのるくんのことがうやむやになったままの朝。
家を出ようとしたところで、あくびを噛み締めながら眠そうに階段を下りてくるお兄ちゃんと遭遇した。
目が合った途端、相手の動きがピタリと止まる。
「あっ、和花さん……」
「…………おはよ」
「!! お、おはようございます!」
「行ってきます」
「はい、行ってらっしゃいませ!!」
90度に腰を曲げるお兄ちゃんを背に家を出た。
喧嘩なんて、バカらしいしね。
怒ってはいたけど、嫌いになることは絶対にない。
だって家族なんだから。
それより、どんな方法でお兄ちゃんと勝負したら勝てるか考えないと。
わたしに対して下手に出てる今の状態なら、どんな勝負に挑んでも受けてくれそう。というか、受けざるを得ない状況にするんだけど。
と、そこまで考えて、急に恥ずかしくなる。意味もなく頭をかいてみたりして。
「ちょっとお兄ちゃんに甘えすぎかな、わたし……」
お兄ちゃんがわたしに下手なのは、向こうがああやって喧嘩を回避してくれてるからなのになぁ。
結局わたしがお兄ちゃんを嫌いになれなくて、むしろ好きなのは、そんなんだからなんだよね……。



