なんだろ、これ。


 期待してもいいのかな。


 ま、まだ早いかな。上げて落とされるのは怖いんだけど。


 帝塚くんからの重圧がすっと軽くなり、元の体勢に戻る。


 もう距離を取ろうなんて考えは頭から消えていた。



「な、なんか、変だよ、帝塚くん」



 そしてここでわたしは、保身に走ってしまう。


 わたしも変なのに。


 完全に悪手だ。言ってから後悔が募る。


 もっと攻めなきゃダメでしょ……バカ……。



「確かに、自分らしくないとは思ってます」


「……っ!?」



 体が過剰に強ばった。


 だって、なんと、帝塚くんが。


 ――帝塚くんが、わたしの手を握ってきたのだ!



「でも、これも俺なんだと思います」


「あ、う、て、な、なんで」



 顔を真っ赤にして口をパクパクと開閉するわたし。帝塚くんはクスッと笑って、すぐにその手を離した。


 こ、これって、さぁ。


 実質、ってやつなんじゃ?


 帝塚くんもわたしの気持ちに気付いてて、ちょっと泳がせてないかなぁ。



「やめましょうか。こんなの、友達じゃやらないですよね」


「ここまでやっといて!?」



 こういうの生殺しって言うんだよ!?