キミは当て馬、わたしはモブ。



 予想通り、教室の中に目を向けると男子と目が合った。すぐにさっと逸らされたけど。



「気のせいじゃないですか?」


「いいから。こっち来て」


「自意識過剰じゃないですか?」


「オブラートに包むのやめないで」



 帝塚くんはもっと事の重大さに気付いたほうがいいよ。


 キミは良くも悪くも、目立つんだから。


 ようやく安心して立ち止まれたのは、突き当たりから右に向いて降りた階段の踊り場だった。


 ここは昇降口から一番遠い階段なので、あんまり人が来ない。自動販売機なんかは近いから、全然来ないわけじゃないけど。



「よし。いいよ、話して?」


「はい。じゃあ……昨日のことなんですが」



 何を言うつもりなんだろう。


 帝塚くんが言う、わたしが中村くんを好き論は真っ向から否定してやったはずだ。


 あーー、じゃあ、あれかな? 『カップリング』のこと?



「意味よくわからなかったので、カップリングを帰ってから調べてみたんです」


「あぁそう。そんなのも知らないんだ」



 平然なふりをする。


 まぁ内心はめちゃくちゃ焦ってるわけで、ちょっと煽ったような言い方になってしまったけど。声が裏返らなかっただけ褒めてほしい。


 だから手のひらは嫌な手汗で濡れて気持ち悪かった。