キミは当て馬、わたしはモブ。



 というか……。



「あの、なんか近くない?」



 隣同士に座ったわたし達の距離は、少しの隙間も許してくれないくらいに近かった。


 思えば移動していた間もそうだったような。


 なんで急に距離感歪んでるの?



「嫌ですか?」



 嫌じゃないから困ってるんですけど。


 わたしより目線が高いくせに、上目遣いをしてくる。咄嗟に目線を逸らして胸の高鳴りを隠した。


 苦しい。脳内で木霊する『好き』の二文字が、わたしの判断を鈍らせる。



「嫌では……ない、かも……しれないけど……」



 ただ素直じゃない部分は簡単に直らない。


 ……悔しい。


 わたしだって、キミの心を揺さぶるようなこと言ってみたい。


 こんなに、わたしばっかり一喜一憂してさ。



「じゃあ、いいじゃないですか」



 嬉しそうに笑うキミの肩に、そっと寄り添ってみた。



「うん……いいかも」



 どうだ!


 わたしの顔はすっかり火に焼けて見せられなくなっている。


 それでもちょっとはこっちを見てほしい。矛盾してるのはわかってるけど、どっちも正しい気持ちだ。


 風が少し肌寒い。