飼い猫に噛まれたくらいの気持ちでいたわたしとは反対に、帝塚くんは深刻な表情だ。
「誰にやられたんですか」
「さぁね、誰だろ」
「もしかして、俺が原因なんじゃ」
「大丈夫だって」
心配してくれるんだ。それだけで儲けものだなぁ。
まだ帝塚くんは納得いかないみたい。わたしは本当にどうでもいいんだけど、帝塚くんがそんな顔してくれるなら、利用させてもらうしかない。
「じゃあ、乾くまで待っててくれる?」
「わ、わかりました。じゃあ、日の当たる場所に移動して……」
「うん、どこがいいかな」
靴を持って移動する。
これで、帝塚くんと一緒にいられる時間が増えた。
わたしの策略も知らずに、キョロキョロと場所探しをする帝塚くんが可愛くて笑いがこぼれる。
「ここにしましょう」
最終的に体育館の前にある階段に座って、靴を乾かすこととなった。
体育館の中からキュッキュとバスケ部の動く音や、バレーボール部のボールが打ち落とされる音が聞こえてくる。
こうして放課後の光景を感じるのはほぼ初めてで、新鮮な気持ちだ。



