「帝塚くん」
わたしは女子に囲まれた帝塚くんの元へ行き、軽く彼の制服を引っ張った。
「さ、佐久良……!」
ぱぁ、と雰囲気の明るくなる帝塚くん。
今までのわたしの奮闘は全く目に入っていなかったのだろう。良かった、のかな?
「帰ろっか」
「はい!」
すごく嬉しそうだ。わたしだって同じ気持ち。
でも、ちょっと違うんだよね。わたしには覚悟がある。
この先、また柊さんが突っかかってきても、新しく敵が現れても、奪われたくないなぁって思ったの。
わたしのものじゃないけど、今のところは、一番わたしに近い。
わたしのものにしたい。
「あ、皆さんすみません。俺は佐久良と帰るので失礼します」
律儀に帝塚くんは囲っていた女子へ挨拶をして、わたしの隣へぴったりとくっついた。
女子達は不服そうではあるものの、ある程度の空気を察して誰も口出ししてこない。
わたしはもう一度柊さんのことを振り向いて、ばっちりと目を合わせた。
柊さんは一瞬びくりと体を震わせるも、対抗するように目線を外さずにいてくれる。
「柊さん、やり方は卑怯だったけど、気持ちは二番目かもね」
わたしには負けるけど。そんなニュアンスを含める。
煽られた柊さんは、「諦めてないから!」という言葉と共に舌を出して来たのだった。
うーんやっぱり、彼女には一生負けない自信があるなぁ。



