キミは当て馬、わたしはモブ。



 ほうきに顎を乗せて勝ち誇ったように笑う柊さんを目の前に、キッ! と睨みを効かせてあげた。お返しだ。


 ただし気持ちは少年漫画の主人公。


 なんだか邪魔する方向性が予想外すぎて、いまいち必死になれない。


 むしろ余計冷静になってきたまである。



「柊さん、どうしてこんなことするの?」


「むかつくから!」



 理由も清々しいくらいにわかりやすい。


 つまり完全な八つ当たりなんだけど、作戦の甘さに免じて多目に見てあげよう。



「柊さん、後ろ」



 肘より上をなんとか動かし、柊さんの後ろを指差した。



「何? どうせはったりでしょ? わたしの意識を逸らそうとしたって意味ないんだから」


「いや、そうじゃなくて」



 柊さんの後ろから、ゆっくりと手が伸びてきたと思うと……



「柊さん! 覚悟ぉっ!」


「きゃっ!?」



 ガバッと羽交い締めされて、柊さんも身動きが取れなくなる。


 柊さんを羽交い締めしたのは――アカネちゃんだ。


 正義のヒーローの登場に、わたしは感動するほど嬉しくなる。


 アカネちゃんは自身の力の強さを活かし、柊さんの抵抗をものともせずに縛り続けていた。