キミは当て馬、わたしはモブ。





 放課後。帰り支度を済ませて、一直線に帝塚くんのところへ向かった。


 だがしかし、視界の端から柊さんが近付いてくる!



「佐久良さぁ~ん!」


「嫌です」


「まだ何も言ってないでしょ!」


「そうやってほうきを突き出しながら来られたら、誰だって察するよ!」


「それなら話が早い! 掃除当番変わってくれない?」


「嫌ですよ!?」



 この人ポジティブすぎない?


 お互いにはぁはぁと息を切らして睨み合う。


 隙を見つけて走ってやろうと思っていたら――急に後ろから複数人に組みつかれた。



「ちょっ、な、何!?」



 柊さんの手下か!


 じたばたと暴れても一対多だと歯が立たない。


 ただし、彼女達はぼそぼそと小さな声で「ごめん佐久良さん……」「佐久良さんごめんなさい……」と謝ってきていた。


 全部柊さんのせいじゃん! 権力で人を雇うな!


 まさかこんな物理で封じ込められるなんて思ってなかった。


 帝塚くんは!? 何やってんの、早く助けてよ――って、女子に囲まれて目隠しされてる!


 くっ……柊さんめ、どれだけ用意周到なんだ。


 先生はただじゃれてるだけだと思ってるだろうし、他のクラスメートは無関心にそそくさと帰っていく。


 妨害の仕方があまりにも雑すぎるんですけど!