キミは当て馬、わたしはモブ。



 先生が入ってきたことにより簡単に解放された腕は、授業が始まった後でも違和感を残していた。


 帝塚くんに触れられていた部分が、じんじんと痺れている。


 先生の説明なんてちっとも頭に入ってこない。


 強い力なわけじゃなかったのに、しっかりと捕らえられていたような感覚だった。


 帝塚くんが柊さん達をどう思ってるのか、それは全然わからないけど。


 わたしと離れたくないって思ってくれたんなら、嬉しいかもなぁ……。


 そのとき、背筋にぞわっと寒気が走った。ぶるりと震える体に、偶然ではないという直感が働く。


 周りを見渡してみれば――柊さんが、こっちを見て睨みを効かせていた。


 その睨みはやり慣れてないのが丸わかりで、全く怖くない。


 ただ、嫌な予感だけはビンビンに伝わってきた。


 ――何か、企んでそうだなぁ。


 どうやら、今日一日はずっと穏便に過ごせることはなさそうだ。


 でもまぁたぶん、なんとかなりそうな予感。