キミは当て馬、わたしはモブ。




「佐久良……さん。ちょっといいですか?」



 休み時間、教室がざわってした。帝塚くんが堂々とわたしに話しかけてきたからだ。


 ちなみに、帝塚くんに決まって仲の良い友達はよく見てなくてもわかる。いない。教室で話すのなんて、授業で当てられたときか事務的会話のときくらいだ。


 だから、クラスメートはこう思ったはずだ。「あの帝塚くんが、自ら話しかけにいった!?」ってね。


 クラスメートの興味がわたしに向く。わたしはめんどくささを感じて、何も言わずに立ち上がった。


 顎を廊下の方へと動かす。帝塚くんはわたしの言わんとしたことを察して、こくりと頷いた。


 中村くんとアカネちゃんも見てる。見られちゃってる。


 二人に帝塚くんと仲良いって勘違いされるのだけは嫌だな。



「言いにくいんだったら、佐久良でいいよ」



 わたしが廊下に出て一番に言った言葉がこれだ。


 帝塚くんってたぶん、あんまり人にさん付けしないタイプなんだろうし。別にわたしはそれで怒ったりしないし。



「あ、助かります」



 訂正。敬語キャラのくせに、敬称付けないのはちょっと嫌かも。キャラクターの解釈的に。



「それで、昨日のことなんですが――」


「待って。みんなが様子を窺ってきてる気がするから、もうちょっとここから離れたいかな」