キミは当て馬、わたしはモブ。



 必要がなくなったので、帝塚くんの腕から手を離そうとすると……それを帝塚くんに掴み返されてしまった。


 え、と声が出る。


 パッと顔を上げると、そこには……。



「……喜んで」



 ふわっと微笑む帝塚くんの姿があった。


 周りの女子から、恍惚とした息が漏れ出ているのがわかる。柊さんも切り替えが早く、頬を赤らめて帝塚くんに見惚れている。


 くっ……かっこいいのは認めるけど、複雑な気持ちだ。彼の笑顔を引き出したのはわたしなのに。


 帝塚くんには笑顔を簡単に作らないようにしていただきたい。


 自覚のない帝塚くんに内心怒りつつ、チャイムが鳴りそうな頃合いだし席に戻ることにする。



「……じゃあ、その、また放課後に」


「はい」


「ん、いや、この手は何?」



 さっき掴み返されてから一向に解放される気配がない。


 なんで離してくれないの?



「何でしょうね」


「……こっちが聞きたいんだけど?」



 その触れた部分に神経が集中してむず痒くなってきた。



「もう少しだけ」


「……?」



 なんなんだろ。


 柊さんがめっちゃ睨んでくるからそろそろ終わりにしてほしいかな……?