キミは当て馬、わたしはモブ。



 柊さん。柊さんっていうのは、わたしたちのクラスメート。クラスでは目立つ存在の、リーダー的ポジションの女子だ。


 今は帝塚くんの周りを囲む壁の一部になっている。



「簡単に言うと……『帝塚くんの笑顔をどうやって引き出したの!』って言われたんだよね」


「帝塚くんの笑顔?」



 柊さんは、帝塚くんの笑顔が見たくて帝塚くんの周りに取り巻いてるってことかな。


 中村くんは苦しそうに頭を押さえて記憶を呼び覚ます仕草をする。



「ええーっと、昨日僕と下校してる途中に帝塚くんが笑ったらしくて、それを学校の人の誰かが写真に撮ったとかで。それをグループラインに流したら、かっこいいって話題になって……今の状況? らしい」



 説明が下手でごめん、と謝ってくるけど、内容は十分に伝わった。


 つまり帝塚くんの笑顔が想像以上にかっこよくて、恋した女子急増中ってわけね。


 わかるけどさ……。わたしだって、思い出したらきゅんとくるよ? あの笑顔。


 でもそれを勝手に盗撮して、好きになるっていうのが許せない。


 わたしの方が先に知ってたのに。


 ただの嫉妬なのはわかってるけど、ちょっと気分は悪かった。