キミは当て馬、わたしはモブ。



 言ってしまえば、逃げたのは大間違いだった。


 逃げたからっていうか、帝塚くんをひとりにしちゃったのが間違い。


 なぜなら……。



「帝塚くん、勉強教えてくれない?」


「あっ、ずるい、私も!」


「私も、ここわかんなくて……」



 クラスの女子が、急に勉強への意欲を出し始めたのだ。


 揃いも揃って帝塚くんを囲んで質問していく。そのせいでわたしは近付けない。


 帝塚くんは突然人気者になったことに戸惑いながらも、質問に答えている。


 ……何が悔しいって、わたしも同じ手口を使って帝塚くんと一緒にいようとしてたんだよね。


 わたしの場合、下心はクイズにしかなかったわけだけど。



「和花ちゃん、顔怖いよー?」



 遠くから帝塚くんを注視するわたしに、心配したアカネちゃんがわたしの表情を教えてくれた。



「……ごめん、ありがと」



 お礼を言って、すぐに表情をフラットにする。


 こんな結果になったのは、わたしが素直になれなかったからだ。


 わ、わたしだって、や、やればできるし……。



「帝塚くん、どうしたんだろうね? 急に人気者になって」


「うーん……本人も心当たりなさそうだったけどな」



 まぁ、単純にみんなが帝塚くんの魅力に気付いただけかもしれないけど。



「……僕、知ってる」