キミは当て馬、わたしはモブ。



 帝塚くんにはあまり良い印象を持てていない。


 いくらイケメンでも、自分のいけ好かないヒーローとくっついた少女漫画なんて二度と読む気にならないよ。



「はぁ……」



 大きなため息。


 結局わたしにはどうすることもできない。アカネちゃんが帝塚くんを選んだとしても文句を言う資格なんてないのだ。


 だって、それじゃあ、わたしの気持ちが……。


 真っ白なノートの上に黒いもやもやを描いていたことに気付いて、消しゴムで消していく。


 それと同時に、先生が黒板を消していた。


 ……って、えっ?


 ちょ、ちょっと待って、そこまだわたし書けてない――!



「そこ。佐久良、寝るなー」



 ごつんと机に頭がぶつかる音が思ったより響いたので、先生に注意されてしまった。


 もう……最悪。


 横を向いた先には、帝塚くんが不思議そうな顔でわたしに注目しているのが見えた。


 なんだよ、どうしたんだろうって顔して。ちょっとだけキミのせいだよ。


 このイケメン眼鏡敬語辻アカネちゃんガチ恋男め。


 あーあ。やだなぁ。


 ……これさぁ、悪いとこって、ある?