あのトラウマ克服大作戦から一週間。
代わり映えはしないものの穏やかな日々を過ごしていた。
都合よく忘れた振りをして。
あのことは誰にも言っていない。
何もなかったのだ。
いつも通り。
のはずだった。
ある日の仕事終わり。
とある居酒屋に来ているのだが。
今、私には人生最大の窮地に立たされている気がする。
いや、気がするではなく確実に大ピンチだ。
欠員がでたとのことでほぼ無理やり友達のさりなに連れてこられた合コン。
そこに居てはいけない人物がいた。
なんで、、。
なんで、、、!
なんでこないだのあのイケメンがいるの!!
そう、あのイケメンとはこないだ私がラブホテルに置いてけぼりにしてきたあのイケメンである。
幸い向こうはケータイをピコピコしていてまだこちらに気付いてはいない。
でもきっと時間の問題だ。
4対4の合コンだし一人ぐらい欠員がでても大丈夫だろう。
帰るならまだ店に入っていない今のうちしかない、、!
「さりな、私ちょっと、野暮用思い出したから帰る。」
さりなに早口でそう伝え、くるりと帰る方向に向き直る。
しかしじゃっと手を上げて歩き出そうとするやいなや、すかさずさりなに首根っこを掴まれた。
「帰すわけないでしょ!?頑張ってめちゃくちゃハイスペック集めたんだから!!
だいたいあんたいっつも嘘つくの下手すぎ!野暮用なんかないでしょ!」
さりなは暴れる私をホールドし、行くぞオラと私に凄んで有無を言わさず店内に引きずり連れて行く。
頭にマフラーをかけ、顔を見せないように俯きがちになりながらさりなに両手を引っ張られ席についた。
何これ。
何この状況。
連行か?
っていやそうじゃなくてこれはだめだ、席が思った以上に近い。
顔をあげたら確実にバレる気がする。
奴はまだケータイをピコピコしている。
ああ、神様仏様女神様。
どうか、、どうか気付かれませんように、、。
天に祈りを捧げ、私が席についたところですぐ残りのメンバーも揃い、地獄の合コンがスタートしてしまった。
マフラーはさすがに外したが、やっぱり顔は真っ直ぐあげられない。
幸い一番奥の端っこの目立たない席には座れたけれど全く落ち着かない。
いや、やっぱだめだ、なにこの状況!
本当に耐えられない!
なんの試練なんだこれは、、。
私が一人で悶々と考えている間に飲み物を注文していたらしく、店員さんが飲み物を次々と運んできてくれる。
「先にとりあえず乾杯しようよ!」
可愛い声でそう言ったのはさりなの大学時代の友達。
この子がさりながいつも可愛い可愛いと自慢してきていた花音ちゃんか。
横目でチラリとしか見ることができないが、確かにめちゃくちゃ可愛い。
そして彼女が連れてきた友達もまたしかり。
そんな彼女の手にはカシスオレンジが握られている。
良くみると女性陣は私以外皆キレイな色のカクテルだ。
えーっと、、まず私飲み物なんて注文したっけ?
なに頼んだんだろ覚えてない。
梅酒とかかなー、なんて甘い事を考えているとジョッキの生中が運ばれてきた。
いや何故私だけ生中・・。
お酒強いし生中好きだけど・・。
今日は極力目立ちたくないのに・・!
烏龍茶頼もうと思ってたのに!
誰だ勝手に頼んだの!
肘でお腹をツンツンとされ横をチラリとみるとさりなに思い切りウインクをされた。
こ、この野郎、、。
いつもならば、ありがとうだが今はまったくありがとうじゃない。
ありがた迷惑という言葉をこれ程痛感する日が来るとは思わなかった。
「えー!女の子で一人一杯目生中ってかっこいいね!」
そう言ってくれたのは男性陣の幹事っぽい男の人。
やっぱりそういじられますよね、、。
気使っていじってくれたんだろうし、いつもならそれなりにうまいこと返事できるのに、、。
顔を上げられない私はただ、いやいやと謙遜しつつ俯きがちに微笑むことしかできない。
「とりあえずドリンクもそろったし自己紹介でもしますか!」
幹事の男の人がそう言って仕切り直すかのように手をパンっと叩く。
で、でた。
自己紹介!
だから合コン苦手なんだよ!恥ずかしい!
なんで自己紹介なんかするの!
新学期か!!
私が合コンのくだりで一番苦手なやつである。
まず合コンのワイワイした空気が苦手だったりする。
でも始まってしまったものは仕方がない。
とりあえず一番初めは避けたいところだが、、。
ていうかもういっそトイレに逃げてこっそり帰るか?
いやいや立ち上がった時点で目立っちゃうよな、、。
どうする私。
自問自答と冷や汗が止まらない。
「ねえ、君大丈夫?」
体調が悪いと思われたのか目の前にいた幹事っぽい男の人が私に声をかけてくれた瞬間、皆の視線が一気に自分に注がれる。
あまりの唐突さに思わず大丈夫です!と顔を上げてしまった。
あ、まずい。
やってしまった。
一番遠くの席に座っていてずっとケータイをピコピコといじっていたあのイケメンもこっちをみている。
最初は怪訝そうな顔で目を細め、そしてだんだん開いていく大きな目と口。
いや、急に表情豊かすぎるでしょ。
まずい。
これは確実にばれた。
「あ!お前!あの時のら、、」
「あああ!!!この前ライブでお会いしましたよね!お久しぶりですどうも!
いや全然気づかなかったなー!あははははは!!」
おそらくラブホテルというとんでもない単語を叫びかけた彼のセリフを必死でかき消す。
く、く、苦しいーーーーー!
言い訳が苦しすぎる!!
もともと嘘つくのすごい下手くそなのに。
頭の中がどうしようという単語でいっぱいで次に何を言えばいいのかわからない。
どうしよう祭りである。
どうしようカーニバルの中どうしようサンバを脳内で踊る。
しかしそんな焦りまくる私とは裏腹に、数秒固まってから彼はスンっと大人しくなり、まあいいやと再びケータイに目を戻した。
え、いや、急にあっさり?
反応みておもしろがってるわけでもなさそうだし、割とどうでもよかったのかな?
「知り合いだったら言ってくれればよかったのにー!」
花音ちゃんがそう言って笑う。
どうやら皆もあまり気にしていないらしく、助かった。
「あはは、、すみません全然きづかなくて。」
いや、あの、知り合いじゃないんですけどね、、。
心の中で皆にごめんなさいをする。
さりなだけが勘づいたらしく、何かあったんですねと意味深な微笑みをこちらに向けてきたがそれは無視しておいた。
代わり映えはしないものの穏やかな日々を過ごしていた。
都合よく忘れた振りをして。
あのことは誰にも言っていない。
何もなかったのだ。
いつも通り。
のはずだった。
ある日の仕事終わり。
とある居酒屋に来ているのだが。
今、私には人生最大の窮地に立たされている気がする。
いや、気がするではなく確実に大ピンチだ。
欠員がでたとのことでほぼ無理やり友達のさりなに連れてこられた合コン。
そこに居てはいけない人物がいた。
なんで、、。
なんで、、、!
なんでこないだのあのイケメンがいるの!!
そう、あのイケメンとはこないだ私がラブホテルに置いてけぼりにしてきたあのイケメンである。
幸い向こうはケータイをピコピコしていてまだこちらに気付いてはいない。
でもきっと時間の問題だ。
4対4の合コンだし一人ぐらい欠員がでても大丈夫だろう。
帰るならまだ店に入っていない今のうちしかない、、!
「さりな、私ちょっと、野暮用思い出したから帰る。」
さりなに早口でそう伝え、くるりと帰る方向に向き直る。
しかしじゃっと手を上げて歩き出そうとするやいなや、すかさずさりなに首根っこを掴まれた。
「帰すわけないでしょ!?頑張ってめちゃくちゃハイスペック集めたんだから!!
だいたいあんたいっつも嘘つくの下手すぎ!野暮用なんかないでしょ!」
さりなは暴れる私をホールドし、行くぞオラと私に凄んで有無を言わさず店内に引きずり連れて行く。
頭にマフラーをかけ、顔を見せないように俯きがちになりながらさりなに両手を引っ張られ席についた。
何これ。
何この状況。
連行か?
っていやそうじゃなくてこれはだめだ、席が思った以上に近い。
顔をあげたら確実にバレる気がする。
奴はまだケータイをピコピコしている。
ああ、神様仏様女神様。
どうか、、どうか気付かれませんように、、。
天に祈りを捧げ、私が席についたところですぐ残りのメンバーも揃い、地獄の合コンがスタートしてしまった。
マフラーはさすがに外したが、やっぱり顔は真っ直ぐあげられない。
幸い一番奥の端っこの目立たない席には座れたけれど全く落ち着かない。
いや、やっぱだめだ、なにこの状況!
本当に耐えられない!
なんの試練なんだこれは、、。
私が一人で悶々と考えている間に飲み物を注文していたらしく、店員さんが飲み物を次々と運んできてくれる。
「先にとりあえず乾杯しようよ!」
可愛い声でそう言ったのはさりなの大学時代の友達。
この子がさりながいつも可愛い可愛いと自慢してきていた花音ちゃんか。
横目でチラリとしか見ることができないが、確かにめちゃくちゃ可愛い。
そして彼女が連れてきた友達もまたしかり。
そんな彼女の手にはカシスオレンジが握られている。
良くみると女性陣は私以外皆キレイな色のカクテルだ。
えーっと、、まず私飲み物なんて注文したっけ?
なに頼んだんだろ覚えてない。
梅酒とかかなー、なんて甘い事を考えているとジョッキの生中が運ばれてきた。
いや何故私だけ生中・・。
お酒強いし生中好きだけど・・。
今日は極力目立ちたくないのに・・!
烏龍茶頼もうと思ってたのに!
誰だ勝手に頼んだの!
肘でお腹をツンツンとされ横をチラリとみるとさりなに思い切りウインクをされた。
こ、この野郎、、。
いつもならば、ありがとうだが今はまったくありがとうじゃない。
ありがた迷惑という言葉をこれ程痛感する日が来るとは思わなかった。
「えー!女の子で一人一杯目生中ってかっこいいね!」
そう言ってくれたのは男性陣の幹事っぽい男の人。
やっぱりそういじられますよね、、。
気使っていじってくれたんだろうし、いつもならそれなりにうまいこと返事できるのに、、。
顔を上げられない私はただ、いやいやと謙遜しつつ俯きがちに微笑むことしかできない。
「とりあえずドリンクもそろったし自己紹介でもしますか!」
幹事の男の人がそう言って仕切り直すかのように手をパンっと叩く。
で、でた。
自己紹介!
だから合コン苦手なんだよ!恥ずかしい!
なんで自己紹介なんかするの!
新学期か!!
私が合コンのくだりで一番苦手なやつである。
まず合コンのワイワイした空気が苦手だったりする。
でも始まってしまったものは仕方がない。
とりあえず一番初めは避けたいところだが、、。
ていうかもういっそトイレに逃げてこっそり帰るか?
いやいや立ち上がった時点で目立っちゃうよな、、。
どうする私。
自問自答と冷や汗が止まらない。
「ねえ、君大丈夫?」
体調が悪いと思われたのか目の前にいた幹事っぽい男の人が私に声をかけてくれた瞬間、皆の視線が一気に自分に注がれる。
あまりの唐突さに思わず大丈夫です!と顔を上げてしまった。
あ、まずい。
やってしまった。
一番遠くの席に座っていてずっとケータイをピコピコといじっていたあのイケメンもこっちをみている。
最初は怪訝そうな顔で目を細め、そしてだんだん開いていく大きな目と口。
いや、急に表情豊かすぎるでしょ。
まずい。
これは確実にばれた。
「あ!お前!あの時のら、、」
「あああ!!!この前ライブでお会いしましたよね!お久しぶりですどうも!
いや全然気づかなかったなー!あははははは!!」
おそらくラブホテルというとんでもない単語を叫びかけた彼のセリフを必死でかき消す。
く、く、苦しいーーーーー!
言い訳が苦しすぎる!!
もともと嘘つくのすごい下手くそなのに。
頭の中がどうしようという単語でいっぱいで次に何を言えばいいのかわからない。
どうしよう祭りである。
どうしようカーニバルの中どうしようサンバを脳内で踊る。
しかしそんな焦りまくる私とは裏腹に、数秒固まってから彼はスンっと大人しくなり、まあいいやと再びケータイに目を戻した。
え、いや、急にあっさり?
反応みておもしろがってるわけでもなさそうだし、割とどうでもよかったのかな?
「知り合いだったら言ってくれればよかったのにー!」
花音ちゃんがそう言って笑う。
どうやら皆もあまり気にしていないらしく、助かった。
「あはは、、すみません全然きづかなくて。」
いや、あの、知り合いじゃないんですけどね、、。
心の中で皆にごめんなさいをする。
さりなだけが勘づいたらしく、何かあったんですねと意味深な微笑みをこちらに向けてきたがそれは無視しておいた。
