【美玲と純】

この田舎じゃ朝は冷える。円城寺美玲(えんじょうじ みれい)は学校に向かうところだった。この男、純(じゅん)と。

「はぁ、朝から最悪。」

美玲はため息混じりに嫌味を込めて言った。

「えっ?なんで。」

その嫌味もこの人には効かなかった。

「それは...」
「それは?」

くるりと振り返り、純に向かい大声で叫んだ。

「アンタがいるからだぁぁ!!」

実は純は東京からはるばるこの田舎町に交換留学で来たのだ。美玲と純は旧友で親同士が仲がいいので美玲の家に泊めてもらっていた。

「えぇ!そこは嬉しいの間違いだろ。」
「間違ってない。うるさい奴が来て最悪。」
「部屋違うしうるさくないだろ?」
「当たり前じゃん!この歳で同じ部屋とかあり得ない!有り余る部屋が意味がない!」

美玲と純は同じ中学ニ年生。
興奮した美玲をなだめて純が言う。

「それよりも始めてのこっちの学校だから何部に入ろうかなぁっと。」

(それよりも?だってコイツ。)

「お前の入ってる部に入ろうと思うから教えて」
「いや、入らなくていいから...怪奇研究部だけど。」
「そか、案外楽しそうじゃん。」
「そんくらいしか入るのないし。」

田舎町では運動部があっても練習試合は近くに他の学校が無いためできない。また子供の人数も少ないので練習もろくに出来ないのだ。


そんな話をしている最中に学校に着いた。