「空をおおった雲や、雲。向こうの山にいってはくれまいか。これでは月も星も見えなくて、姫様が寝不足になってしまう」 「それはできぬよご老人」 じいやの言葉に、雲が返事をしました。 「イタズラ好きな魔法使いが、わたしに魔法をかけたのだ。そのせいで離れたくても月から離れられないのだ」 雲が、じいやにそう告げたとき、どこからかすすり泣く声が聞こえました。 「おや?雲よ。この泣き声は誰のものだい?」