じいやと涙のお月様

「あぁ魔法使いや。誰かのためにしたことが、必ずしも他の誰かのためにもなるとは限らないんだよ」

じいやの言葉に魔法使いが笑顔を消しました。

「それはどういうことだい、ご老人」
「月も星も見えないこの夜を、怖がる子供がいるかもしれない。月や星を目印に歩いていた別の旅人もいるかもしれない。そのことも考えたうえで、おまえは魔法をかけたかい?」

魔法使いは首を振りました。

じいやは空を見上げます。