高野とは、平日に週に2回程会うペースだった。


会話はお互いそれほどないけど、すごく癒された。


高野の話し方はゆっくりで、声も低く優しかった。

手をつなぐと指は繊細で温かかった。



3回目に会った時に、私達はホテルに行った。

ごく、自然に。


「女の子とこんな所に来るなんて、思ってもみなかった」

部屋に入ってすぐに高野は言った。

少し平静ではない様子が可愛かった。

私よりも歳は10歳上なのに。


「高野さんは結婚してから浮気してないの?」

少し意地悪な質問をしてみた。

今だって充分浮気だ。

「全然。そんな出会いもないし」


「そう」

高野が浮気した事があろうがなかろうが、どうでも良かった。



今はただ、高野としたかった。