クリスマスが近い。

「結衣、予定は?デートしよ」

自分が誘う前に瞬くんから提案されて、私は心が浮わついている。ちょうど保育園でもクリスマスの飾りやペーパークラフトを作成したばかりで、クリスマスのことで頭がいっぱいだ。明日くらいから園児たちにもクリスマスカードを作るように指導するところで、頭の中でジングルベルと勝手に歌い出してしまう。

嬉しい。
瞬くんとクリスマスデートだ。

浮かれ気分のまま出勤し、思いきり子供たちに突っ込まれた。

「ゆいせんせー、なんかうれしそう」

そうなの、嬉しいことがあってね、いや、これから嬉しいことがあるんだけどね、なんて話したくなる衝動を抑えて、私はごまかすように笑う。

まったく、クリスマスにデートしようと言われたくらいでこんなにも浮かれるなんて。
あり得ないと思いつつ、これが現実だ。
いくら歳を重ねて大人になったって、嬉しくて叫びたくなる気持ちは子供と一緒なのだ。

嬉しい!
嬉しい!
嬉しい!

だけど今は仕事中。
自然と顔が緩みまくっていたことに気を引き締め直した。