涙なんて出てこなかった。 ただ無事を祈った。 陸斗に手を引かれて走る夜道は、アタシの胸を締め付けた。 「お母さん…。」 「大丈夫だ…。」 不安そうに呟いたアタシに、陸斗が言ってくれたんだ。 お願い。 神様でもなんでもいい。 お母さんを助けて。 お母さんを連れていかないで。